自家製餃子、自家製パン、自家製味噌、、、巣ごもり需要が高まる以前から、自宅で食材をつくる手作り文化大国日本で、何故にコーヒーの自家焙煎だけはこれほどまでに不遇なのでしょうか。
焙煎機以外の珈琲道具は、飽きるほどたくさん溢れているし、新しい海外製品もかなりの確率で購入可能な時代に、焙煎機だけ何故に手網か、業務用焙煎機の2択しかないのでしょうか。
この課題は、珈琲愛好家ならば大きく頷いてもらえるポイントだと思います。
結局、趣味の自家焙煎の道具は、手回しのサンプルロースターあたりに落ちつくことになり、それ以上の楽しみ方をなかなか広げられないこの現実。
正直、ずっとガッカリしっぱなしですわ。。
そうなのです。
日常的に使えるカジュアルで楽しい電動焙煎機は今の日本にはないのです!
この問題については、前にこういう記事も書いたのでよかったら読んでみてください。
そんな不毛な日本のカジュアル焙煎機市場に、ついに画期的なロースターが登場しました!
それがSandbox Smart Roasterです。
スマホとbluetooth接続し、専用アプリで焙煎具合をコントロールできる、さらにプロファイルをシェアできるという、まさに今的な機能を実装し、デザイン的にもかなりかっこいい「スマートロースター」。
今回は、文字数多め&長めのレビュー記事ですが、先にみなさまに結論としていっておきますと、
ついに革命起きた。
ということです。
これは家庭用焙煎機市場における本物のゲームチェンジャー。日本の焙煎機メーカーや制作工房は反省したほうがいいとすら思ってしまいます。このような機器の登場は、焙煎愛好家のニーズとして社会に長らくずっとあったことに、何故誰も真剣に目を向けなかったのでしょうか。
気がついていなかったとしたらあまりにもガラパゴスだし、気づいて作らなかったのであれば怠慢そのものです。
でも、ここで時代が変わりました。スマートロースター時代の始まりです。これからは日本でも世界でも、新しいスマートロースター競争がはじまるのは間違いないでしょう。
当ブログでは、Sandbox Smart Roasterをお借りすることができましたので、この画期的なスマートロースターの詳細、いいところ、いまいちなところを、忖度なしにこってりレビューしたいと思います!
7000文字オーバーなので、ゆっくりじっくり読んでください。
Sandbox Smart Roasterとは
台湾で企画デザインされたSandbox Smart Roasterが日本に上陸しました。
台湾といえば知る人ぞ知るコーヒー王国(いつかいってみたい、、、)。日本以上に新しいコーヒー文化がどんどん生まれている場所なのです。この焙煎機は、日本にもおそらく世界にもほとんどない画期的なロースターだと思います。
まずはとにかく外観から見ていきましょう!
Sandbox Smart Roasterの使い方
使い方はこんな感じです。本体以外にスマートホン(またはタブレット)が必要です。アプリはiOS、Androidともに対応しています。
1. アプリとペアリングする
2.プロファイルを選択する
3.予熱をとる
4.生豆を投入する
5.プロファイルを確認しながら焙煎する
6.焙煎完了・冷却
7.清掃
この中でも最も特徴的なのはやはりアプリでのコントロールになりますが、順を追ってみていきましょう。
1. アプリとペアリングする
Sandbox Smart Roasterのスマートたる最大の所以、アプリとの連携です。アプリはiOS、Androidともに対応しているので安心です。アプリをインストールしたら、ペアリングをタッチしてBluetoothのペアリングをします。接続も一瞬でできてストレスなしです。
2.プロファイルを選択する
焙煎具合をメニューから選択します。用意されているメニューは最初から結構多彩で、プリセット、アドバンス、コンペティションと3つのグループがあります。
例えばプリセットを選んだ場合でもノーマル110Vの浅・中・深煎りから、スロー110Vの浅・中・深煎り、その他220Vとパワーをあげた浅・中・深煎りまで用意されています。
アドバンスにはなんと有名産地別のプロファイル、例えばイルガチェフェ ウォッシュド 浅煎りとか、ウエウエテナンゴ ウォッシュド中煎りなど、たくさんの産地に合わせたプロファイルが用意されています。これは素直に楽しい!
3. 予熱をとる
プロファイルを選んだ後に焙煎開始を押すと予熱作業がスタートします。おおよそ5分程で180℃くらいまで温度をあげていきます。
4. 生豆を投入する
予熱を行っている間に、取り外しておいたドラムに生豆100gを測って入れて蓋をします。予熱完了表示がでたら、3分以内にやけどしないようにミトンをつけて焙煎機の内側にドラムをセットします。手際よく行うのがポイント。
5. プロファイルを確認しながら焙煎する
焙煎が進んで1ハゼの音が聞こえてきたら、第1クラックのボタンを押します。
焙煎終了までの残り時間が画面に表示されます。浅煎り、中煎りの場合は第1クラックのボタンまでで終了しますが、深煎りの場合は2ハゼ(第2クラック)まで使います。
6. 焙煎完了・冷却
焙煎は自動的に終了します。完了の表示がされるので、やけどしないようにミトンを付けて焙煎機からドラムを外して、豆をドラムから取り出して冷却します。その後焙煎機自体を冷却します。焙煎機の冷却時間もアプリに表示されます。
8. 清掃
焙煎機の冷却が終了したら、焙煎機内に残ったチャフを専用のブラシで払って清掃します。チャフは下部の引き出しトレイに落ちます。掃除も簡単です。
焙煎の仕上がりと味
そして出来上がったのがこちらです。いくつか試してみました。
若干焼きムラが出ましたが、まずまずの仕上がり。浅煎りは少しムラが多い気がしました。
こちらはしっかりときれいに焼き上がりました。香りもなかなかです。一般的なシティローストといった感じ
深く濃いところまでは焼かない感じのマイルドな仕上がり。イタリアンというよりはフルシティくらいかな。
ちなみに今回選んだ豆はこちら。
非常に品質の高い生豆をリーズナブルな価格で提供しているMIRAI SEEDSさんのスペシャリティコーヒー生豆、ブラジルCOE1位受賞のグアリロバ農園。嫌気性発酵ハニープロセスというスペシャルなもの。
自家焙煎用の豆の選び方は、こちらの記事にまとめています。ぜひご参照ください。
では、僕なりの味のインプレッションです。
浅煎り(プリセット110V)
酸味を心地よく感じるには至りませんでした。
少し輪郭がぼやけていて、全体的に曖昧な味になってしまいました。でも中煎りではすごく美味しく作れたので、そもそもこれはサンプルに選んだブラジルのグアリロバ農園の豆が持つ特徴なのかもしれません。次はエチオピアやケニアなどでチャレンジし直したい気分です。
中煎り(プリセット110V)
コクと香りも十分でとても素晴らしい焙煎ができました!
ほんのりとしたかすかな苦味も心地よく感じられるくらいに体現できています。これはとても美味しいといえる焙煎具合でした!
深煎り(アップデートプロファイル110V)
焼き加減はかなりマイルドで、深煎りといっても真っ黒にならず、試したプロファイルでの仕上がりはフルシティローストくらいの感じでした。焼きムラはほぼゼロ。コクと香りも十分でとても素晴らしい焙煎ができました。
簡単なのにしっかりとした焙煎が楽しめました。特に中煎りの仕上がりや品質感はかなり優秀だと感じました。
Sandbox Smart Roasterのいいところ
手軽に本格的な焙煎できる
プロファイルの曲線をディスプレイでリアルタイムに確認しながら焙煎できるところはまさに本格的な焙煎。しかも他の人のプロファイルを試したり、自分でプロファイルをオリジナルに作成することもできるので、いくらでもこだわれます。
最高のコーヒー沼にはまれます。
コンパクトさ
今まではプロファイル曲線を確認するためには、別途PCや温度計センサーなどをつないだりして少し大げさなセットが必要でした。そして個人が自宅で楽しむにはそれなりのスペースも必要でした。
Sandbox Smart Roasterはとてもコンパクトなのでグラインダーやエスプレッソマシンの隣に置く感覚でスマートに室内に配置できます。チャフもとびちらないので、仕事部屋やリビングなど、キッチンでなくても設置することが可能な一台だと思います。
アプリ操作の斬新さ
最大の特徴であるアプリ操作は、使い勝手も良好で、例えばソファーに座りながら焙煎できるような新しい快適さを実現しています。
また新しいプロファイルがアップデートされたり、他の人シェアしたり、焙煎の新しい楽しみ方を提案してくれます。またアップデートをし続けられる焙煎機というのは今までになかったアイデアです。
インテリア性
サイズがコンパクトで、フォルムも無駄のないスクエアなボックス型で、どこにおいても様になるのでインテリア性も抜群です。
ボディ全体は高い質感を有しており、業務用機器のような無骨さやプラスチッキーな安っぽさもなく、とてもスタイリッシュでインテリア性も高いと思います。ボディカラーは今回のブラックと別によりPOPなレッドも選ぶことができます。
現実的なお値段
SandBoxSmart Roasterは、デビューはクラファンのMakuakeでした。その時の早割ではクーリングマシーンとセットでも8万円代と、焙煎機としては十分手に届く現実的なお値段でした。
ちなみにこのときは目標額200万を大きく超えて3000万以上の資金が集まり、達成率300%超えにとる超圧倒的な支持を得ました。
一般的には、通常の手回しサンプルロースターで5万、何の機能もないモーターとドラムだけの焙煎機で10万、温度感知機能がついたら20万を超えるものしかない日本の焙煎機市場の中で、ここまでの機能性とファッション性を持ちながら10万以下というのは、支持されて当たり前だと思いました。
現在はAmazonが国内最安値の110000円(税込)で販売中。楽天や一部コーヒー専門店での販売もありますが、ざっと調べた限りではおおむね12〜13万円(税込)あたりでかなり割高です。
購入はAmazon一択ですね。
Sandbox Smart Roasterのいまいちなところ
オートマチック操作
最大の特徴のスマホ操作。すべてプロファイルにあわせて動かせるオートマチックですが、途中で操作を間違えて中止した場合、リスタートがすべて最初からになるため、焙煎時間がうまく調整できません。
操作方法になれるまでには何度か失敗することもありそうです。ただし、これは慣れですので慣れればどうということはないですね。
最初はややとまどいますが、まあ、ここは慣れの問題かと
アプリ操作の斬新さ
この焙煎機の最大の特徴は同時に弱点もあわせ持っています。操作にスマホを使うために焙煎中にいろんな通知の邪魔がはいります。また予熱終了時や焙煎終了時のアラートが着信音を使う仕様なので、はじめて使ったときに、電話がなったと思い、あわてて焙煎を止める誤操作を招き焙煎を失敗してしまいました。。。慣れればいいのですが、独自の音を鳴らすか、着信音ではない音を選ぶような仕様に改善されればいいなと思いました。
焙煎中に電話や通知が邪魔になることは大いにあるので、使わないスマホがあればそれを使うのがベストかも。
不使用時の仕様
高温になる機器なので、安全性のためにコンセントを入れた状態では常に内部熱排出のためにファンが回る仕様になっています。これはかなり気になります。安全性のためとはいえ、焙煎終了のたびにコンセントを抜く作業は実際は少しストレス。
メイン電源のオンオフボタンがほしいです。
ファンの音はうるさいので、コンセントは使う時のみ差し込むことになり、ここは日常使いの商品としては使い勝手としてはかなりネック。。。
浅煎りでの火の入り方
試運転テストの間の話になりますが、電熱線の性能なのかどうかわからないのですが、浅煎りが少し苦手なような気がします。スペシャリティコーヒーファンは浅煎りを楽しみたい人も多いと思うので、そのあたり機能強化を期待します。
プロファイルのアプデで対応してくれるかな。でもすべての浅煎りメニューを選んだわけではなく、豆による特性もあるので、ここはあくまでブラジルのグアリロバ農園の豆を使ったときの、僕の主観としてということで、あらかじめ断っておきます。
ここは嗜好の問題、またはアプリのアプデも期待できます
どういう人に向いているか
自分のプロファイルを作ってみたい方
以上細かくレビューしましたが、誰に向いているかと言うと、自分の感覚で自家焙煎をいろいろ試したい人に向いていると思います。僕はカメラ詳しくないのですが、レンズの沼のようなものがあるとすれば、そういうものに近いかも知れません。拘る人にはかなり深いところまで潜っていけそうなマニアックなポテンシャルがあります。
新しい焙煎スタイルを試してみたい方
また、インテリア性やファッション性を大事にしたいおしゃれな人にも向いていると思います。換気に少し気をつければ自宅のリビングでも焙煎可能です。これは今までの泥臭いもうもうとした工房の焙煎のイメージとはかなり違います。
自分で焙煎した記録はメンバー同士でシェアできるような仕組みもあります。これは、ちょうどコーヒースケールでACAIAが登場したときのような全く新しいコミュニケーションギアといえるかもしれません。
製品仕様
焙煎量 | 100g/回(連続焙煎可能) |
電圧 | AC100V-220V 50/60Hz |
寸法 | W230mm×H260mm×D255mm |
接続方法 | Bluetooth |
対応OS | iOS12.0以上 Android 7.0以上 |
焙煎方式 | 電熱直火式 |
出力 | 最大600W |
回転速度 | 最大30rpm |
重量 | 7.0kg |
市場を切り開く新しいスタイルの提案
手軽に焙煎が楽しいのはもちろんなのですが、これは新しい市場を切り開くような可能性を持った、すごい商品となるかもしれません。
例えば、AppleのAirPods以前にもBluetoothイヤフォンはあったし、ノイキャンもいいものがありました。でもAirPodsが登場した後にワイヤレスイヤフォン市場は一気に盛り上がり、多種多様な商品がどんどん生まれました。
コーヒー焙煎機というのはイヤフォンとは少し違うかも知れませんが、それでもこのSandbox Smart Roasterは、今までのプロ向け業務向けしか作ってこなかった焙煎機メーカーでは、決してつくることのできない軽やかさと新しさがあります。
それでいて、100gという自宅でパーソナルに焙煎するのに丁度いい容量、デスクの上にも違和感なくすんなり置くことのできるインテリア性も斬新。
焙煎なんてプロが行うものと思っていた思い込みが崩壊し、誰でも楽しくこだわりの焙煎が自宅に出来るようになるわけなので、新しいユーザーが増えることになります。
新しい市場の誕生です。
ドリップコーヒーを自分で拘って淹れるように、焙煎も自宅で自分スタイルで楽しむ。そんなスマートな新しいコーヒーライフへのポテンシャルをすごく感じます!
Sandbox Smart Roaster、純粋にとても楽しい一台です。
これは本当に楽しい一台だし、とっても新しいコーヒー体験といえるでしょう。
最近の家庭用小型焙煎機についてなどについては、別の記事を書いてみました。よろしければこちらも御覧ください!
以上最後までお読みいただきましてありがとうございました。